研究開発とはどのような活動か

1 科学技術基本法の定義

「基礎研究、応用研究及び開発研究をいい、技術の研究を含む」と定義している。

研究・・・事物・機能・現象等について新しい知識を得るために、又は既存の知識の新しい活用の道を開く
     ために行われる創造的な努力及び探求をいう。

開発・・・定義はしていない。

[例示]総務省統計局「平成29年科学技術研究調査 用語の解説」より

 研究業務となるもの
  イ 研究所・研究部などで行われる本来的な活動
    研究に必要な、思索、考案、情報・資料の収集、試作、実験、検査、分析、報告などをいう
   (研究の実施に必要な、機械・器具・装置などの工作、動植物の育成、文献調査などの活動含む)

  ロ 研究所以外(例えば、生産現場である工場など)で行われる次の活動
   ・上記①の活動
   ・パイロットプラント(試験設備、試験工場)や、プロトタイプモデル(原型、量産に入る前の試作品)の
    設計・製作及びそれによる試験の活動
  ハ 研究に関する庶務・会計等の活動
    内部(社内)で研究を実施していなくても委託研究等のために外部に研究費を支出することは研究活動とする。
 研究業務とならないもの
   ・生産の円滑化を図るために生産工程を常時チェックする品質管理に関する活動
   ・製品、半製品、生産物および土壌・大気等の検査、試験、測定、分析
   ・パイロットプラント(試験設備、試験工場)や、プロトタイプモデル(原型、量産に入る前
    の試作品など)による試験研究の域を脱して、経済的生産のための機械設備等の設計

2 研究開発費等に係る会計基準(企業会計基準委員会)の定義

(1) 研究
  新しい知識の発見を目的とした、計画的な調査及び探究。

(2) 開発
  新しい製品、サ-ビス、生産方法(新製品等)についての、計画若しくは設計、又は
  既存の製品、サービス、生産方法(既存製品等)を著しく改良するための計画若しくは設計
   として、研究の成果その他の知識を具体化すること。
   ※現在製造している製品や業務を前提とした場合に、著しいと判断できない改良・改善
    などを行う活動は、この基準でいう「研究・開発」には該当しない。(実務指針26)

[例示]・・・「研究開発費等の会計処理に関する実務指針」の抜粋・要約

  研究開発費となるもの
  ・新製品の試作品の、設計・製作および実験
  ・商業生産化するために行う、パイロットプラント(試験設備、試験工場)の設計、建築等の計画
  ・取得した特許等を基にして、販売可能な製品を製造するための技術的活動
  研究開発費とならないもの
  ・製品を量産化するための試作
  ・製品の品質改良、製造工程における改善活動

3 税法の定義・・税法では「試験研究」という語を用い「試験研究費」として次のように定義している

(1)  製品の製造若しくは  技術の改良、考案若しくは  発明に係る試験研究のために要する費用
(2) 対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究として一定のもののために要する費用

  ※試験研究費の特別控除の対象となるのは、これらの費用のうち政令で定めるものである

★ 税法上の「試験研究」は
   科学技術基本法や研究開発費等に係る会計基準でいう「研究開発」に対応する語です。
   科学技術基本法でいう「研究開発」の内容と、「研究に関する庶務・会計等の活動」を除き概ね一致します。
   研究開発費等に係る会計基準では「研究開発」にはならない活動も含む概念です。
    会計基準では研究開発とならない、製品を量産化するための試作や製品の品質改良などは
    税法上の試験研究には含まれます。

国税庁のホームページには次のように記載されています。(ページ内Q8をご参照下さい)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kenkyu-qa2003/02.htm
「この試験研究は、工学的、自然科学的な基礎研究、応用研究及び開発・工業化等を意味するもので、必ずしも新製品や新技術に限らず、現に生産中の製品の製造や既存の技術の改良等のための試験研究であっても対象となります。」    
「研究開発」は、税務や会計において特殊な分野です。税理士には、税理士法により、顧客に関する情報・機密について守秘義務が課されています。
研究開発に関する税務や会計は、当事務所の得意分野です。 内閣府や文部科学省の政策立案担当の方々が当事務所を訪れたこともあります。

「試験研究費の特別控除(法人税額の特別控除)」制度を検討している企業は、専門家である税理士にご相談いただくことをお勧めいたします。

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