税額控除の対象となる費用

★ 税額控除の対象にできるのは、試験研究のために要した費用で法人税法上の損金となるものです。
  したがって、会計上の費用(研究開発費など)であっても、法人税法上損金にならないものは、対象となりません。
★ しかし、決算で費用計上した年度で税務計算上損金とならなかった費用が、その後の年度で認容(=税務計算上損金算入)
  された場合は、認容された年度で税額控除の対象となります。
★ 研究開発の計画、実際の活動内容、研究の結果・成果を記録することを前提とすべきです。

1 製品、技術に関する試験研究

Ⅰ 概略

   イ 製品の製造、ロ 技術の改良、考案 、ハ 発明に係る試験研究のために要する費用で法人税法上
    の損金となるもののうち、政令で定めるものが税額控除の対象となります。➡次のⅡの費用
   試験研究に充てるため他の者から支払いを受ける金額がある場合には、その金額を控除した残額が
    税額控除の対象となります。

Ⅱ 税額控除の対象となる費用

  上記Ⅰの試験研究のために消費した原材料費が対象です。
  消費した年度で控除対象となる(一般的には、試験研究の過程に投入した年度で良いと思われます)。
  期末棚卸が必要。

  ★ 試験研究のために消費した原料、材料であれば、全て対象になります。
  ★ 製品の製造に使用する原材料と同じものを使う場合は、税務調査のときに疑われ易いので、区分
    して管理し、消費した日にちと数量などを記録するべきです。
 試験研究に携わった社員ごとに、日々の作業日報を作成して、
 ・試験研究のテーマと作業時間
 ・試験研究以外の作業内容と作業時間
 を記録することが必要です。

  専任研究員
   専門的知識をもって試験研究に専ら従事する者の人件費
   ★ 研究者だけでなく、専従の研究補助者を含みます。

  兼任研究員
   普段は製品製造などに携わっている社員で必要に応じて試験研究に携わる者の人件費についても
   税額控除の対象とすることができます。(平成15年 中小企業庁から国税庁への照会に対する回答)
   製品製造と研究開発を兼務することが多い中小企業が適用を受けるチャンスを拡大するために設け
   られた措置ですが、企業規模を問いません。
   大企業もこの取扱いを受けることができます。
   ★この取り扱いは、次の4つの要件を満たす場合に、適用できます。

   イ ある試験研究プロジェクトが行われる期間のうち、その者の担当業務が行われる期間、
     担当業務に専従すること。
   ロ その者の担当業務がその試験研究に欠かせないものであり、かつ、その者の専門的知識
     が担当業務に不可欠であること。
   ハ その試験研究に従事する期間が、連続してまたは間隔をおきながら、実動で20日以上あること。
   二 その者の試験研究業務への従事状況が明確に区分され、試験研究業務に係る人件費が適正に
     計算されていること。


   基本的には、各兼任研究員の年間の総人件費を年間総労働時間で除し、試験研究に携わった時間を乗じた額が、
   税額控除の対象となります。

  【人件費の範囲・・・月給だけでなく、人件費に該当する全ての費用が含まれます。】
   • 給料(諸手当を含む)
   • 通勤費
   • 賞与
   • 健康保険料、厚生年金保険料の会社負担額
   • 企業年金料の会社負担額
   • 雇用保険料の会社負担額
   • 労災保険料
   • 退職金
   • 社宅の費用
   • その他福利厚生の費用
   ※ 賞与引当金繰入額や退職給付引当金の繰入額など、法人税法上損金とならない費用
     これらの費用は、繰入れた年度では税額控除の対象とすることはできません。
     しかし、実際に賞与や退職金を支払った年度では税務計算上損金に算入されるため、
     支払った年度で、試験研究費として税額控除の対象となります。
  経費とは、原材料費および人件費以外の費用のことで、外注費、減価償却費、地代家賃、リース・
  レンタル料、水道光熱費、通信費、旅費交通費、消耗品費、新聞図書費、修繕費などです。
  試験研究のために要したのであれば、これらの費用も税額控除の対象になります。
  ※税法では、次の(4)および(5)については、別掲しています。

   試験研究のためだけに、要した経費(個別費)
    そのまま控除対象となります。
   試験研究活動と製造活動その他のために共通してかかった費用(共通費)
    一括してまたは分類したうえで、適当な配賦基準を用いて試験研究のために要した額を
    算出します。

    ★ 共通費を控除対象とするためには、配賦計算が必要になります。
  他の者に委託して試験研究を行う個人又は法人が、その試験研究のために委託をうけた者に対して支払う費用。
  委託研究費は、原則として委託研究が終了して結果報告を受けた年度で税額控除の対象となります。

2 新たなサービスの開発に関する試験研究

Ⅰ 概略

 新たなサービスの開発のために次の①から④までのすべての活動が行われる場合の、①から④までの
 費用のうち一定のもの➡次のⅡの費用

  データの収集 (内容については、「減税の対象となる試験研究」の(2)の
  データの分析 (           〃            (2)の
  サービスの設計(           〃            (2)の
  サービスの適用(           〃            (2)の

  ※試験研究に充てるため他の者から支払いを受ける金額がある場合には、その金額を控除した残額が
   税額控除の対象となります。

Ⅱ 税額控除の対象となる費用

   上記Ⅰのからの活動のために消費した原材料費が対象です。
   消費した年度で控除対象となる(一般的には、試験研究の過程に投入した年度で良いと思われます)。
   期末棚卸が必要。

  ★ 試験研究のために消費した原料、材料であれば、全て対象になります。
  ★ 製品の製造に使用する原材料と同じものを使う場合は、税務調査のときに疑われ易いので、区分
    して管理し、消費した日にちと数量などを記録する。
  情報解析専門家でその専門的知識により、データの収集、データの分析、サービスの設計、
  サービスの適用の業務に専ら従事する者の人件費が控除対象になります。

   ※「情報解析専門家」とは、情報の解析に必要な確率論及び統計学に関する知識並びに情報処理
    に関して必要な知識を有すると認められる者をいい、「データサイエンティスト」がこれに当
    たります。

   ※兼任者の取扱
    製品、技術に関する試験研究の兼任研究員(上記1の(3)の兼任研究員)と同様に取扱われ、
    要件を満たせば、対象となります。
  経費とは、原材料費および人件費以外の費用のことで、外注費、減価償却費、地代家賃、リース・
  レンタル料、水道光熱費、通信費、旅費交通費、消耗品費、新聞図書費、修繕費などです。
   (1)の試験研究のために要したのであれば、これらの費用も税額控除の対象になります。
   ※税法では、次の(4)については、別掲しています。

    試験研究のためだけに、要した経費(個別費)
     そのまま控除対象となります
    試験研究活動と製造活動その他のために共通してかかった費用(共通費)
     一括してまたは分類したうえで、適当な配賦基準を用いて試験研究のために要した額を算出します。
    ★ 共通費を控除対象とするためには、配賦計算が必要になります。

   但し、外注費について控除対象となるのは、支払う外注費のうち、上記(2)の原材料費、(3)の人件費、
   (4)の経費に相当する部分に限られます。

   ※外注先が請負った業務の全部又は一部をさらに他に外注(再外注)した場合には、再外注した部分の
    金額については税額控除の要件に該当するものであっても適用はありません。
  他の者に委託して試験研究を行う個人又は法人が、その試験研究のために委託をうけた者に対して支払う費用
  但し、控除対象となるのは支払う委託研究費のうち、上記(1)の原材料費、(2)の人件費、(3)の経費に相当する
  部分に限られます。

  委託研究費は、原則として委託研究が終了して結果報告を受けた年度で税額控除の対象となります。
「研究開発」は、税務や会計において特殊な分野です。 税理士には、税理士法により、顧客に関する情報・機密について守秘義務が課されています。
研究開発に関する税務や会計は、当事務所の得意分野です。内閣府や文部科学省の政策立案担当の方々が当事務所を訪れたこともあります。

「試験研究費の特別控除(法人税額の特別控除)」制度を検討している企業は専門家である税理士にご相談いただくことをお勧めいたします。

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