研究開発費の会計と税務の取扱、両者の違い

■ 研究開発費等に係る会計基準の処理

「研究開発費等に係る会計基準」従って会計処理をすることが義務づけられているのは
  上場会社と、その子会社・関連会社
  会社法上の大会社(資本金5億円以上又は負債総額200億円以上の会社)と、その子会社
  任意に会計監査人を設置している会社などです。

 これら以外の会社は、この会計準によってもよらなくても良いことになります。
 1. 財務諸表の企業間比較を容易にするため、
 2. 会計処理から不確実性を排除するために、
 3. その研究開発活動によって、外部に販売可能なもの又は、自社で固定資産等として利用可能なものが出来る可能性が高いとしても
 4. 貸借対照表に資産として計上することはせずに、
 5. 研究開発費は、すべて発生時に費用処理する
 6. 原則として、一般管理費として処理する⇒発生年度の期間費用とする
 1. 新製品の試作品の設計・製作および実験のための費用は、発生年度の研究開発費として費用処理することになっている(実務指針2)
 2. 製品を量産化するための試作に要した費用は、「研究開発費」とならないため、原則として、製造原価に算入される(実務指針26)
会計基準では触れていないが、次のように処理することになるだろう。
 1. 研究開発活動の結果として、
  イ 外部に販売可能なもの又は、
  ロ 自社で固定資産等として利用可能なものが出来た場合には、
 2. その時点で、資産として計上することになる。
  仕訳 (借方)棚卸資産 (貸方)雑益(営業外収益又は特別利益)
     (借方)固定資産 (貸方)雑益(営業外収益又は特別利益)
 ・この場合の資産として計上する価額は、実際に集計された金額ではなく、売却可能価額又は他の方法によって、その価値を見積った価額による。
固定資産として資産計上せずに、取得時に研究開発費として費用処理する。
「特定の研究開発目的にのみ使用され、他の目的に使用できない機械装置や特許権等」
を取得した場合の原価は、取得時の研究開発費とする。(会計基準注解2)

会計では、特定の研究開発の用途のみに使用される汎用性のない機械装置等は、その研究開発が終了した後は、使用しない(廃棄、解体、放置等される)可能性が高いと考えられるため、資産計上することは適当でないと考え、取得した時点で費用処理することを要求することにしている。

■ 税務上の処理

※研究開発のレベルや内容によって、
 1.「期間費用(一般管理費)となるもの」
 2.「製造原価(当期総製造費用)となるもの」
 3.「資産の取得価額となるもの」に分けられる
 1. 基礎研究
 2. 応用研究
 3. 工業化研究(※)に該当することが明らかでないもの
   ※「工業化研究」とは、科学技術基本法の「開発研究」と同義と考えてよいと思われる
明らかな工業化研究(=開発研究)
※企業が実際に行う試験研究は、多種多様であり、どの段階の試験研究なのかを明確にすることは、困難なことが多いため、税務では、割り切りとして「工業化研究に該当することが明らかなものだけを、製造原価に算入すればよい」ことにしています。
 1. 試作品
  会計基準では、新製品の試作品の設計・製作のための費用は、発生年度の研究開発費として、費用処理することになっている。
  ※製品を量産化するための試作に要した費用は、「研究開発費」とならないため、会計上も原則として、製造原価に算入される。

 税務では、
 イ その試作品が、外部に販売可能なもの、又は、自社で固定資産等として利用可能なものになる可能性がある場合には、完成までの間は、仕掛品又は建設仮勘定として、資産計上することになるだろう。
 ロ この場合に、仕掛品や建設仮勘定、又は、製品や固定資産などとして資産計上すべき金額は、その試作品の設計・製作のために発生したすべての費用ではない。

 次の費用を除外して計算した、材料費、労務費および経費の額と、完成品を販売または事業の用に供するために直接要した費用の額との合計額である。
 ・試行錯誤の活動のために要した費用
 ・仕損
 ・結果として不要となった設計費など
  また、その資産の、販売(処分)可能見込額でもよい。
  試作品の設計・製作のために発生した費用のうち取得価額に算入されなかった金額は、発生年度の試験研究費になる。
 そして完成年度に、
 ・販売可能なものは棚卸資産
 ・自社で使用する場合は固定資産
 ・販売も自社利用もできない場合は、その年度の試験研究費とする

 2. 研究開発のために使用する固定資産
  「特定の研究開発目的だけに使用され、他の用途に転用できない機械装置等」は、会計基準では、取得時に研究開発費として費用処理することになっているが、税法では、このような機械装置等であっても、特別の取扱はせず、
  イ 固定資産として計上され、減価償却によって費用化される
    ※これらの機械装置等は、多くは、
    ・「開発研究用減価償却資産」として、通常の製造用の減価償却資産に比べて短い耐用年数が適用される(機械装置であれば、4年)
    ・減価償却費は、一般管理費となる(製造原価に算入する必要はない)
  ロ 特定の研究開発が終了して、その機械装置等が廃棄、解体等されれば、その時点で費用処理される(その年度の試験研究費となる)
「研究開発」は、税務や会計において特殊な分野です。
研究開発に関する税務や会計は、当事務所の得意分野です。
内閣府や文部科学省の政策立案担当の方々が当事務所を訪れたこともあります。

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