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2018年6月1日|カテゴリー「研究開発減税QA」
[1] 企業会計と法人税法で経理処理の方法が異なります
1.企業会計
企業会計では、「研究開発費等に係る会計基準(以下「会計基準」といいます)」に従って経理することになっています。「会計基準」では、次のとおり規定しています。
特定の研究開発目的のみに使用され、他の目的に使用できない機械装置や特許権等を取得した場合の原価は取得時の研究開発費とする(会計基準注解2)
したがって、企業会計では、次の2通りの経理処理になります。
(1) 特定の研究開発のためにしか使用できないものは、取得した時に研究開発費 として費用処理する。(期末において未だ使用していない場合であっても「貯蔵品」等として資産計上はしない)
(2) 特定の研究開発以外にも使用できるものは、固定資産として資産計上する。
なお、会計基準が強制的に適用されるのは、次の会社です。
1.上場会社と、その子会社・関連会社
2.会社法上の大会社(資本金5億円以上、または負債総額200億円以上)と、その子会社
3.任意に会計監査人を設置した会社
これら以外の会社には、会計基準は強制適用されません。
したがって、中小企業は、任意に会計監査人を設置している場合を除き、「研究開発費等に係る会計基準」によって経理しても良いし、次の2.に述べる「法人税法」によって経理しても良いことになります。
特定の研究開発目的のみに使用され、他の目的に使用できない機械装置や特許権等を取得した場合の原価は取得時の研究開発費とする(会計基準注解2)
したがって、企業会計では、次の2通りの経理処理になります。
(1) 特定の研究開発のためにしか使用できないものは、取得した時に研究開発費 として費用処理する。(期末において未だ使用していない場合であっても「貯蔵品」等として資産計上はしない)
(2) 特定の研究開発以外にも使用できるものは、固定資産として資産計上する。
なお、会計基準が強制的に適用されるのは、次の会社です。
1.上場会社と、その子会社・関連会社
2.会社法上の大会社(資本金5億円以上、または負債総額200億円以上)と、その子会社
3.任意に会計監査人を設置した会社
これら以外の会社には、会計基準は強制適用されません。
したがって、中小企業は、任意に会計監査人を設置している場合を除き、「研究開発費等に係る会計基準」によって経理しても良いし、次の2.に述べる「法人税法」によって経理しても良いことになります。
2.法人税法
法人税法では、使用目的によって取扱を変えることはしていません。
※耐用年数については、使用目的により異なった取扱いとなる場合があります。
使用目的にかかわらず、法人税法施行令54条(減価償却資産の取得価額)が適用され、これに従って算定した金額を資産計上することになります。
(1)購入した場合
→購入代価(購入付随費用を含む)と、事業の用に供するために(この場合は、実験用に使用するために)直接要した費用の額との合計額
(2)自社で製作等した場合
→製作等に要した、材料費、労務費、経費の額の合計額と、事業の用に供するために(この場合は、実験用に使用するために)直接要した費用の額との合計額
★法人税法においては、課税所得の計算は、「別段の定めのあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準による」ものとしています。(法人税法第22条)
法人税法施行令54条(減価償却資産の取得価額)は、22条でいう「別段の定め」です。
※耐用年数については、使用目的により異なった取扱いとなる場合があります。
使用目的にかかわらず、法人税法施行令54条(減価償却資産の取得価額)が適用され、これに従って算定した金額を資産計上することになります。
(1)購入した場合
→購入代価(購入付随費用を含む)と、事業の用に供するために(この場合は、実験用に使用するために)直接要した費用の額との合計額
(2)自社で製作等した場合
→製作等に要した、材料費、労務費、経費の額の合計額と、事業の用に供するために(この場合は、実験用に使用するために)直接要した費用の額との合計額
★法人税法においては、課税所得の計算は、「別段の定めのあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準による」ものとしています。(法人税法第22条)
法人税法施行令54条(減価償却資産の取得価額)は、22条でいう「別段の定め」です。
[2]上場会社と会社法上の大会社
(資本金5億円以上、または負債総額200億円以上) および、これらの会社の子会社など(1.で述べた会社)
1.これらの会社は、経理の処理は、上記1.企業会計の「研究開発費等に係る会計基準」によることになります。
2.そして、課税所得を計算するときには、 上記2.のとおり、法人税法にしたがって計算します。
会社の財務諸表は、「研究開発費等に係る会計基準」による経理に基づいて行いますので、法人税の申告書において、法人税法に準拠して計算し直すことになります。
これを、「申告調整」と言います。
1.これらの会社は、経理の処理は、上記1.企業会計の「研究開発費等に係る会計基準」によることになります。
2.そして、課税所得を計算するときには、 上記2.のとおり、法人税法にしたがって計算します。
会社の財務諸表は、「研究開発費等に係る会計基準」による経理に基づいて行いますので、法人税の申告書において、法人税法に準拠して計算し直すことになります。
これを、「申告調整」と言います。
[3]中小企業(上記[2]以外の会社)
中小企業(上記[2]以外の会社)には、「研究開発費等に係る会計基準」の適用は強制されていません。
したがって、上場会社や会社法上の大会社などと同じく、上記の[2]によっても良いし、法人税法の規定によって、経理しても良いことになります。
法人税法の規定によって経理する場合は、会計処理と課税所得の計算方法が同じですので、「申告調整」は必要ありません。
したがって、上場会社や会社法上の大会社などと同じく、上記の[2]によっても良いし、法人税法の規定によって、経理しても良いことになります。
法人税法の規定によって経理する場合は、会計処理と課税所得の計算方法が同じですので、「申告調整」は必要ありません。
「研究開発」は、税務や会計において特殊な分野です。
研究開発に関する税務や会計は、当事務所の得意分野です。
内閣府や文部科学省の政策立案担当の方々が当事務所を訪れたこともあります。
「試験研究費の特別控除(法人税額の特別控除)」制度を検討している企業は、専門家である税理士にご相談いただくことをお勧めいたします。
2018年5月31日|カテゴリー「研究開発税制についてのコラム」
前回は、研究開発税制が多くの中小企業にとって研究開発活動を促進する誘因とはなっていないということをお話ししました。
今回は、これを裏付ける2つの調査結果がありますのでご紹介をいたします。
今回は、これを裏付ける2つの調査結果がありますのでご紹介をいたします。
資本金が1億円以上の会社の53%が黒字であるのに対して、資本金1億円未満の会社で黒字なのは、わずか27%です。
このことから、中小企業が研究開発減税を受けるチャンスは大企業に比べて非常に少ないことが分かります。
このことから、中小企業が研究開発減税を受けるチャンスは大企業に比べて非常に少ないことが分かります。
この調査結果は、企業規模が小さいほど利益率、すなわち収益性が低いことを明確に示しています。
このことから、中小企業は、黒字を計上して研究開発減税の適用を受けることができたとしても、利益水準が低いために法人税額の20%(現在は2年間の特例で30%)という税額控除限度額で打ち切りにされてしまい、研究開発費の支出額に見合った控除を受けられることは、大企業に比べて少ないと考えられます。
赤字会社が多いことと共に、中小企業の収益性が低いことが、研究開発税制による減税総額の95%を大企業が享受しているという結果となっているのではないでしょうか。
以上の2つの調査結果からは、企業の研究開発活動を税制面から支援するためには、控除限度額(税額基準額)や繰越控除が可能な年数を、企業の規模などによって違いを設けることが、実態に即していると言えます。
具体的には、中小企業については次の2つの措置を講ずる必要があります。
1.税額控除限度額(税額基準額)を引き上げる
2.控除し切れなかった金額の繰越控除を認める
(翌年度以降数年間の法人税額から順次控除する)
これらの措置を講ずることによって、中小企業にとっても研究開発費の支出額に見合った税額控除を受けられる可能性が広がり、企業規模間でバランスのとれた真に研究開発活動を促進する税制になると考えます。
赤字会社が多いことと共に、中小企業の収益性が低いことが、研究開発税制による減税総額の95%を大企業が享受しているという結果となっているのではないでしょうか。
以上の2つの調査結果からは、企業の研究開発活動を税制面から支援するためには、控除限度額(税額基準額)や繰越控除が可能な年数を、企業の規模などによって違いを設けることが、実態に即していると言えます。
具体的には、中小企業については次の2つの措置を講ずる必要があります。
1.税額控除限度額(税額基準額)を引き上げる
2.控除し切れなかった金額の繰越控除を認める
(翌年度以降数年間の法人税額から順次控除する)
これらの措置を講ずることによって、中小企業にとっても研究開発費の支出額に見合った税額控除を受けられる可能性が広がり、企業規模間でバランスのとれた真に研究開発活動を促進する税制になると考えます。
「研究開発」は、税務や会計において特殊な分野です。
研究開発に関する税務や会計は、当事務所の得意分野です。
内閣府や文部科学省の政策立案担当の方々が当事務所を訪れたこともあります。
「試験研究費の特別控除(法人税額の特別控除)」制度を検討している企業は、
専門家である税理士にご相談いただくことをお勧めいたします。
2018年5月30日|カテゴリー「研究開発税制についてのコラム」
控除限度額の拡大と繰越控除制度の創設
研究開発税制(税法上の言い方は「試験研究税制」)とは、企業(個人・法人を問いません)が行う研究開発活動を支援するために、研究開発活動にかかった経費のうち税法で定める要件に該当するものを基礎として算出した金額だけ、法人税を減額する制度のことをいい、この中にはいくつかの措置があるのですが、通常は研究開発税制(試験研究税制)というと、
研究開発費のうち税法で定める条件に適合する金額の10%前後の金額だけ法人税を減額する措置を言います。
これを、「試験研究費の総額に係る税額控除」と言います。
これを、「試験研究費の総額に係る税額控除」と言います。
特別控除額(減税額)
- 資本金が1億円以下の会社および個人
- その年度の「試験研究費」の12%
(但し、その年度の法人税額・所得税額の30%が限度)
- 資本金が1億円を超える
会社 - その年度の「試験研究費」の8~10%
(但し、その年度の法人税額の30%が限度)
「試験研究費の特別控除」の対象となる研究開発費とは、研究開発のためにかかった、材料費、人件費、経費と、研究開発を他の会社などに委託した場合の委託研究費です。
また、研究開発専門の社員がいない会社でも、この制度の適用は受けられます。
中小企業では、製品の製造や加工に携わっている社員が、必要に応じて新製品・新技術の開発や既存の製品・技術の改良活動をするのが普通ではないでしょうか。
年商10億円クラスまたは年商10億円に手が届く製造業であれば、必ずと言ってよい程、今述べた税額控除の対象となる 「試験研究」をしていると思います。
中小企業では、製品の製造や加工に携わっている社員が、必要に応じて新製品・新技術の開発や既存の製品・技術の改良活動をするのが普通ではないでしょうか。
年商10億円クラスまたは年商10億円に手が届く製造業であれば、必ずと言ってよい程、今述べた税額控除の対象となる 「試験研究」をしていると思います。
この減税制度の利用状況について国が行った調査がありますので、少し加工してご紹介します。
研究開発減税(「試験研究費の総額に係る税額控除」)の利用状況
(国税庁 平成22年度会社標本調査「税務統計から見た法人企業の実態」より)
この減税制度を利用している会社の60%以上は、資本金1億円以下の会社です。
しかし金額で見ると、研究開発減税総額の95%は資本金が1億円を超える会社が享受しています。
しかし金額で見ると、研究開発減税総額の95%は資本金が1億円を超える会社が享受しています。
減税の恩恵の95%を資本金が1億円を超える会社が享受している理由の一つは、減税を受けるための要件が、「中小企業にとって利用しやすいものになっていない」ことです。
「試験研究費の総額に係る税額控除」には、2つの制限があります。
研究開発費(試験研究費)を支出した年度の法人税額の20%(現在は特例で30%)が控除額の上限となっています。
つまり、赤字会社や繰越欠損金があるために法人税がゼロの会社には適用される余地はありません。
研究開発費(試験研究費)を支出した年度で控除できないか、または控除し切れなかった金額は翌年度の法人税額から、
翌年度の試験研究費の税額控除をした後に控除限度額の残(余り)がある場合に限り、その残額までの範囲内で控除されます。
中小企業には赤字法人が多い上に、研究開発を活発に行った年度はその分利益を圧迫するために、欠損(赤字)になるか、利益を計上しても平年に比べて少額となることが多くなります。
赤字法人が多く、さらに利益水準が低い、多くの中小企業にとって、活発な研究開発活動をしても(多くの研究開発費を支出しても)支出した金額に見合った控除を受けるチャンスは、大企業に比べて非常に少ないのが現状と思います。
多くの場合、研究開発の成果が企業業績に反映されるのは、翌年度以降になります。
大企業では、その年度の研究開発費に対する税額控除を、過年度の研究開発活動の成果が現れたことによって得られた利益に対する法人税から控除を受ける、というサイクルが継続することが多いと思いますが、中小企業は基本的にニッチ産業であるために、同時に多くの種類の研究開発活動をすることが困難なことが多いため、大企業に比べて、このサイクルが継続しない場合が多いと考えられます。
つまり現在の研究開発税制は、中小企業の実態を考慮しない設計になっています。
このため、中小企業の新製品開発などに対する税制面での後押しは、広く行き渡ってはいません。
研究開発税制は、多くの中小企業にとって研究開発活動を促進する誘因とはなっていないと思います。
それについては次回お話しをさせていただきます。
「試験研究費の総額に係る税額控除」には、2つの制限があります。
研究開発費(試験研究費)を支出した年度の法人税額の20%(現在は特例で30%)が控除額の上限となっています。つまり、赤字会社や繰越欠損金があるために法人税がゼロの会社には適用される余地はありません。
研究開発費(試験研究費)を支出した年度で控除できないか、または控除し切れなかった金額は翌年度の法人税額から、
翌年度の試験研究費の税額控除をした後に控除限度額の残(余り)がある場合に限り、その残額までの範囲内で控除されます。中小企業には赤字法人が多い上に、研究開発を活発に行った年度はその分利益を圧迫するために、欠損(赤字)になるか、利益を計上しても平年に比べて少額となることが多くなります。
赤字法人が多く、さらに利益水準が低い、多くの中小企業にとって、活発な研究開発活動をしても(多くの研究開発費を支出しても)支出した金額に見合った控除を受けるチャンスは、大企業に比べて非常に少ないのが現状と思います。
多くの場合、研究開発の成果が企業業績に反映されるのは、翌年度以降になります。
大企業では、その年度の研究開発費に対する税額控除を、過年度の研究開発活動の成果が現れたことによって得られた利益に対する法人税から控除を受ける、というサイクルが継続することが多いと思いますが、中小企業は基本的にニッチ産業であるために、同時に多くの種類の研究開発活動をすることが困難なことが多いため、大企業に比べて、このサイクルが継続しない場合が多いと考えられます。
つまり現在の研究開発税制は、中小企業の実態を考慮しない設計になっています。
このため、中小企業の新製品開発などに対する税制面での後押しは、広く行き渡ってはいません。
研究開発税制は、多くの中小企業にとって研究開発活動を促進する誘因とはなっていないと思います。
それについては次回お話しをさせていただきます。
「研究開発」は、税務や会計において特殊な分野です。
研究開発に関する税務や会計は、当事務所の得意分野です。
内閣府や文部科学省の政策立案担当の方々が当事務所を訪れたこともあります。
「試験研究費の特別控除(法人税額の特別控除)」制度を検討している企業は、専門家である税理士にご相談いただくことをお勧めいたします。













